上品な佇まいのH様が、しなやかで重厚感ある刺繍をご持参され、額装をご依頼されました。
当店に来られたのは、同じ刺繍教室(日本刺繍 紅会)のご友人からのご紹介で、おそらく車で1時間ほどかけていらっしゃった様です。

H様とご縁があるお寺様のお嬢様が昨年お亡くなりになり、
その面影をもとにした仏様を刺繍で表現されたそうです。

こちらの画像がそのお作品を額装したものです。
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とても繊細で、優しさや柔和さが、シルクの糸ひと針ひと針に大変良く表現されています。

お召し物にも使われておりますが、お嬢様は高貴な「紫」色がお好きだったそうで、
刺繍でもその「紫」が、気品と慈悲深さを醸し出しております。

お嬢様がお好きだった色と同調させたマットに、額は落ち着いた黒檀色に囲まれたアンティークシルバーの立体的な可愛く品のあるイタリア製の額を選択されました。
マットの内側には、ウッドゴールドの面金をあしらったことで、額装にメリハリが出ております。

何んとなしに眺めていると、仏様が浮き上がっているように見えてきます。

ご奉納される大切な額装品のため、保存額装を施しました。
UVカットアクリルをはじめ、木製額の内側にはアクによる劣化を防止する専用テープを貼り込み、
お作品のすぐ後ろには、悪性ガス吸着シートと湿気からお作品を護る保護シートを挟み入れ、裏板も特別な仕様になっております。
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更に、刺繍は巻込み加工をし、ある程度の厚みと重さになっているため、長い間に下にずれ落ちないように、「あて」を作品下に施しました。
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お寺様のお嬢様へのH様のお気持ちは、きっとお嬢様に届いて、大変喜ばれていることと思います。
とても素敵なお作品を額装させていただき、H様とご友人に感謝申し上げます。